2015年9月29日火曜日

次世代に残したい神奈川の自然(7)

湘南タゲリ米のふるさと(近況報告2015 )

支部幹事 三翠会湘南タゲリ米プロジェクトリーダー樋口公平



  おかげ様で湘南タゲリ米は15 年目となりました。2014 年冬のタゲリの一斉調査では、茅ヶ崎, 寒川,藤沢で3 羽、平塚、伊勢原で19 羽と多くありません。越冬地となる水田は圏央道の完成などで減少が続いております。それでもタゲリ米購入地の茅ヶ崎の西久保地区では、水田の減少が止まりました。自然再生の取り組みとして、魚類の水田への産卵遡上を助ける魚道や、乾燥期に退避できるビオトープや水路内堰などが少しずつ増やせ、ナマズの稚魚などがたくさん泳ぎ、サギ類が採食に来る姿がみられています。
タゲリと同じチドリ科では、コチドリが水田で繁殖し、渡りの時期にはムナグロが立ち寄ってくれました。








ムナグロ♀ 
茅ヶ崎市西久保
(タゲリ米の水田)




●タゲリ米近況
 湘南タゲリ米は地域の水田のお米を高く買い上げ、皆様に購入していただき、農家が稲作を継続する仕組みで、「三翠会」(さんすいかい)が取り組んでいます。茅ヶ崎市の協力農家は稲作農家のほとんど(25 軒)になり、毎年約2 トンの買上げが継続出来ています。今年は茅ヶ崎市の「ふるさと納税」のお礼品に選ばれました。また学校給食にも検討が始まっています。これらは継続的に購入いただけている皆様の力が大きく影響しています。新商品として、もち米品種「喜寿糯」(きじゅもち)の販売を検討しています。今年のタゲリ米にはおまけサンプルをつけますので、感想をお聞かせください。








お神輿の上の鳳凰がくわえているのはタゲリ米の稲



●伝統文化の継承へ
 水田は伝統文化の源ともなっています。茅ヶ崎では夏に神輿を担いで海に入る濱降祭(はまおりさい)が有名です。実は海岸にある神社のお神輿の上には鳳凰(ほうおう)が乗っていて、その鳳凰の嘴にはタゲリ米の青い稲がくわえられています。その稲は四方を紙垂(しで)で囲み、若い稲をそのために刈り取ります。浜の集落と内陸の集落が稲を通して古来から交流していたことがわかります。稲作が継続するということは、生物の保全だけでなく、伝統文化の継承にも繋がります。

●自然再生への取り組み
 水田魚道(ナマズ、ドジョウ、フナなどの魚類が水路と水田を往来できるような仕組み)の設置など自然再生の仕組みは農水省のモデル事業にもなっていますので、見学のご依頼が増えてきました。自然保護団体や、早稲田大学の環境塾などの方たちをご案内しています。ご要望がありましたら連絡ください。
 三翠会のFacebook ページでは、近況を頻繁に更新しています。ぜひご覧ください。
 都市近郊の貴重な水田を未来に残すため、皆様の継続的なご支援を今後とも宜しくお願いします。

タゲリ米の販売広告は裏表紙をご参照ください